ターミナル 20
カラオケに行って、そのまま居酒屋に流れ込む。
代々先輩方が通っていた伝統の店で、高校生だと判っていても
迎え入れてくれるところだった。
それだけ良い時代だったんだと良い風に考えてみよう。
直人の右隣はやっぱり幸恵で、左隣は次期生徒会長の熊田だった。
話題の中心は直人と幸恵が交際を始めた事で、散々冷やかされた。
そして、隣の熊田が直人に耳元で囁いてきた。
熊田『あのさ~!』
直人『何だよ』
熊田『実は俺とバンド組んでくれよ』
何でも4月の第2週に1年生のレクレーションに出て欲しいようだ。
午前中は演劇部と吹奏学部で、午後はダンス部とフォークソング部と
赤田のバンドが出演するとの事。
コンピュータでリズムを打ち込み、キーボードで弾き語りをしようと思ったが
難しい曲がありボーカルを探していたらしい。
赤田『なあ、頼むよ。カラオケだと思って楽しくやろうよ。な?』
実は前世ではこの誘いを断った。
大学を目指して勉学に打ち込もうと思っていたからだった。
直人『おお、いいぜ!』
軽く受けてしまった。本当はやっておけばと後悔していた事だったからだ。
この誘いを受ける事が平凡だった人生に別れを告げる事になり
壮絶な人生の幕開けとなった。
一部 完
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